2017年8月13日日曜日
新・名句うがち読み 第1回 家藤正人
だからおまへはだめなんだと製氷室が唸る 家藤正人
角川『俳句』平成29年8月より
ひと昔前の冷蔵庫はうるさかった。製氷室は特に。しかしその音に人間味があった。作者は水割りの氷でも取りに来たのだろうか、その音量は深酒をたしなめるかのようだ。ふと上手くいかなかった一日も思い出す。自分のダメ人間ぶりが蘇ってくる。
大胆な破調字余りが冷蔵庫での一コマを印象深くしている。我々まで怒られている感覚に陥る。作者にはお会いしたことがあり、また大変お世話になっている。若く好男子で製氷室にまで叱られるような方ではなさそうなのだが、そのギャップがまた句を面白くしているのであろう。
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新・名句うがち読み 第2回 黒田杏子
能面のくだけて月の港かな 黒田杏子 『一木一草』平成7年より 一読して難解な一物仕立だと感じた。だがどうしようもなく惹かれた。能には詳しくないが能面が自ら砕けるとは思えない(ファンタジー的には美しいが)。ゆえに、とある事情で美しく無表情な能面を容赦無く砕く倒錯した作中主...
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この度一身上の都合によりブログを移転しました。 俳句を始めたのは、確か2010年付近。エッセイブログにスパイスをというのが契機でした。下手の横好きで勉強をしようともせず、挙げ句の果てには長期間句作をさぼったりと、随分無駄で恥ずかしい時間を過ごしましたが、2014年秋俳句ポスト3...
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